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2011年4月29日 (金)

神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(1)~原点・高崎白衣大観音、大仏の定義~

先日、演歌歌手千葉山貴公さんのラジオ番組「千葉山貴公のちゃばたけ!777」に神社仏閣専門家としてゲスト出演して、二週にわたって計60分の大仏オンリーのトークを熱く繰り広げてきました。多分ラジオ界初の快挙だと思います。

今回はその時の内容を元に編集し、特別企画「神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座」と題して、大仏の魅力を改めてお伝えしたいと思います。

 

 

―坂原さんはこの度大仏の本を出されたそうですね

はい。昨年の秋に「大仏をめぐろう」(イースト・プレス)という本を出版しまして、私がこれまでに巡った全国の大仏様300体以上の中から今回は厳選した70体を紹介しています。
表紙は大仏というと皆さんが思いつく「奈良の大仏」様を使わせていただきました。

 

―最近は仏像がブームだそうで「仏像の本」も数多く出版されているようですが、「大仏の本」というのは無かったんじゃないですかね

今まででは無いですね。「日本初の大仏専門書」です。この本を読んでいただければ、もう明日から皆さんも「大仏博士」ですよ!
まあどこで自慢するんだって感じですが……。

 

―写真も坂原さんが撮影されたものですか

今回の「大仏をめぐろう」では、私自身が実際に30年かけて300体以上の大仏様をめぐりまして、写真も私自身の撮影によるものです。
大仏巡礼自体は小学生の頃よりしていましたが、本格的に記録として残そうと思ったのは中学生の時に自分のカメラを手に入れてからでしょうか。今回本を出すにあたって子供時代に訪れた大仏様を再取材したりして、また改めて大仏の魅力を確認し、こうして一冊の本にまとめることができて嬉しいです。

 

―えっ、そんな子供の頃から? 坂原さんが大仏にはまったきっかけは何ですか

私は群馬県高崎市出身でして、実は高崎には「高崎白衣大観音」という高さ41.8メートルの観音様が立ってらっしゃるんですね。
その高崎白衣大観音に見守られながら育ってきましたので、自然に大仏へと興味を持つようになりました。私は先にこの観音様を知りましたので、後から奈良と鎌倉の大仏様を知って、「へー、奈良と鎌倉にもあるんだ」って思いましたね。まあ、普通の人は逆かと思いますが……。

本格的にのめりこんだのはそうして高崎以外にも大仏様がいらっしゃることを知りましたので、さらに調べていくと富山県高岡市に「高岡大仏」、岐阜県岐阜市に「岐阜大仏」などに大仏様があることがわかりまして、それなら全国の大仏様全てを巡ってみたいと思いまして、北から南まで30年ほどかけて300体以上の大仏を巡りました。それでもまだまだ全ての大仏様と出会えたわけではないですね。小学生当時は自転車で巡ったり、あるいは親に頼んで奈良とか鎌倉に連れて行ってもらって巡ったりしていました。

 

―小学生で奈良や鎌倉ですか。テーマパークとか興味なかったんですか

私にとっては大仏様が一番の魅力的なキャラクターでしたね。もう日本全体が「大仏のテーマパーク」みたいなもんですよ。

 

―高崎白衣大観音とはどんな観音様なんですか

昭和11年に建立された高さ41.8メートルのコンクリート製の立像の大観音です。40メートル以上で胎内巡りが可能な大仏、それを私は「高層大仏」と呼んでいますが、その初代なんですよ。

高崎白衣大観音が建立された戦前はコンクリートというのは当時の最先端の素材だったんです。耐震性、耐火性のある「夢の新素材」です。
やはり仏様の像を造るのなら、永久に残るものを造りたいということで当時最先端の素材を用いて全国各地でコンクリートの大仏が建立されました。
例えば奈良時代に建立された奈良の大仏は銅が用いられていますが、それも当時では大仏様を建立するのにふさわしい最高の素材であったわけです。仏様の姿を永遠に残したいということで、奈良時代ならば銅、昭和時代ならばコンクリートということで用いられたのですね。

コンクリートの使用によって大仏は「巨大化」が進み、全国各地に「高層大仏」が建立されていきますが、高崎白衣大観音は記念すべき「元祖高層大仏」なんです。

ちなみに「高崎白衣大観音」、鎌倉の「大船観音」、そして秩父大淵寺の「護国観音」(※山梨県韮崎市の平和観音が入ることもあり)をあわせて「関東三大観音」と呼ばれています。

 

―大仏とはどのようなものをいうのですか

簡単にいえば「大」きな「仏」像です。

もう少し詳しく言うと、いろいろと定義はありますが、一般的には身長約4.8メートル(一丈六尺)以上座っている場合は半分の約2.4メートル以上のものを大仏と呼んでいるようです。
約4.8メートルという大きさにどのような意味があるかというと、仏教の開祖であるお釈迦様の身長が伝説では約4.8メートルあったといわれていまして、そして仏像とはお釈迦様の生前の姿を等身大で表現したものが始まりですのでその大きさで造られるようになりました。そしてそれより大きなものを「大仏」と呼ぶようになりました。

ですが、それより小さい大仏も何体かいらっしゃいまして、例えば日本ハムに入団した斉藤祐樹投手が現在合宿していることで話題となっている千葉県の鎌ヶ谷市(※放送当時)に「鎌ヶ谷大仏」という大仏様がいらっしゃいますが、そちらは大きさは1.8メートルしかありません。しかし「鎌ヶ谷大仏駅」という駅名にもなっていたり、地元の店名にも「大仏○○」と名前を冠したところも多く、地元の方からは「大仏さん」として愛されています。
人々から愛されていれば大きさなんて関係ないんじゃないかと、私は思います。

 

―大仏にはどのような種類があるのですか

大仏は「大きな仏像」のことですので、通常の仏像と同じく「如来」「菩薩」「明王」「天部」という4種類がありまして、いろいろ考え方はあるかと思いますが、私はどれも大仏と考えています。

奈良の大仏は盧舎那仏といいまして「如来」という種類の仏さまです。如来は仏教の最高位の存在で、悟りを得たお釈迦様の姿をモデルとしています。現在日本一の高さ120メートルを誇る茨城県の「牛久大仏」は阿弥陀如来です。
高崎白衣大観音は観音菩薩、即ち「菩薩」という種類でして、現在修行中の存在で積極的に我々を救いに来てくださいまして、そうして経験を積むことによって将来如来になられる方たちです。
その他にも不動明王に代表される「明王」という種類もありまして、そちらは如来が変身した姿です。怒りの表情で炎をまとったりして一見恐ろしい姿をしていますけど、我々に喝を入れてくださったり、病気や災いをもたらす悪魔と戦うためなんですよ。
元々はインドの神々で仏教の守護神となった「天部」という種類もいます。

また昔の偉いお坊さんも信仰の対象としてまつられていまして、達磨大師や弘法大師、親鸞聖人などの大きな像も建立されています。そちらも「大仏」に含めています。
実在した人物すなわち人間を大きくしたものなので、出会った時はかなり衝撃的ですよ。やはり阿弥陀様や観音様でしたらなんとなくこちらも心構えが出来ていますが、やはり大きいお坊さんの像は見慣れていないのでビックリしましたよ。

 

次回「神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(2)~大仏の誕生、大仏にこめられた祈り~」につづく

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