« 神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(3)~コンクリート大仏の魅力~ | トップページ | 神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(5)~結び・ライフワークとして~ »

2011年5月 5日 (木)

神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(4)~現代に生きる大仏、大仏巡礼の楽しみ~

―坂原さんの著書「大仏をめぐろう」では現代の新しい大仏様も沢山紹介していますね

現代ならではのユニークな大仏様をいろいろ紹介しています。
東京の世田谷区の「おおくら大仏」はなんと1日1回転する大仏様なんですよ。昼と夜で向きが変わるんです。昼間はお寺にお参りに来る方達を出迎える形でお寺の内側を向いているのですが、夜になるとお寺は閉まっていますので180度回転して今度はお寺の外側の道路を見守っているのです。あ、ずっとグルグル回っているわけじゃないですよ。

その他には仙台の「愛子大仏」。こちらは高台にある大仏様までスロープカーが通じておりまして、それに乗って参拝できます。その名も「ナムナム号」です。
私の「
大仏をめぐろう」はそうした現代ならではの新しい参拝スタイルも紹介しています。

 

―金色の大きな鳥の像も載っていますね

それは「日本一の大フクロウ」ですね。こちらは栃木県と茨城県の境にある鷲子山上神社にありまして、そこの祭神アメノヒワシノミコトのお使いがフクロウということでまつられています。一般的な神社では入り口で狛犬が守っていますが、こちらは代わりにフクロウが守っています。境内もフクロウだらけで一番大きなのがこちらの大フクロウ。GU-GUガンモ、あるいはトトロといった可愛いルックスです。
台座には御神木がありましてそれを叩くと、大フクロウが苦労を運び去ってくれ、代わりに幸せを運んでくれる「不苦労」の御利益があるそうです。地元の子供たちにも「フクロウ大仏」と呼ばれて親しまれているそうですよ。

 

―寝ている大仏様もありますね

「涅槃像」といいましてお釈迦様が亡くなられた時の姿を表現したものです。日本の大仏では珍しい姿ですが、東南アジアなどではよく見られる姿です。現代はこの姿の大仏様も日本で増えてきています。
福岡県の篠栗町南蔵院に41メートルの涅槃仏がおられます。他にも北海道にも近年45メートルの札幌涅槃大仏が開眼されました。

 

―えっ、北海道にも大仏があるんですか

北海道は今大注目の大仏エリアですよ。広大な北の大地に大仏が続々建立されています。
札幌郊外の真駒内滝野霊園にも大仏様がおられます。そしてその隣にはなんとモアイ像がズラリと立ち並び、「三十三モアイ地蔵」と呼ばれています。さらにイギリスのストーンヘンジなどもあり、モアイ像もストーンヘンジも祖先の供養のために建立されたものと考えられ、その精神は我々日本人が先祖を敬う心と同じということで現代ならではのグローバルな視点でまつったそうです。

 

―大仏はその大きさだけではなく、調べていくと本当にいろいろな魅力があるんですね

今回の本では大仏がテーマですけど、様々な現代日本の新しい信仰の形の紹介にもなっています。 こうして次々に新たなものが生まれているのは、今も現代人に信仰が生きている証です。

「大仏をめぐろう」では全国各地の大仏、私は「ご当地大仏」と名付けましたが、それぞれの大仏に込められた作者の想いを中心に紹介しています。
まだ生きていらっしゃる方は実際に取材してお話を聞くことができましたけれど、既に亡くなられている方はご子孫の方や地元の方に資料を提供していただいたりして調べました。戦後復興期に造られた大仏様がけっこう多くて、戦没者の供養のため、そして戦争の過ちを繰り返さず、再び日本を復興させよう、そうした強い意志を感じます。そういう気持ちがわかってきますとまた大仏様の見方が変わってくるんじゃないかと思います。

私も子供の頃はやはり大きさに魅かれ「大きいなー!すごいなー!」とそこから入っていきましたよ。しかしある時「あれ?これっていったい誰が造ったんだろう?」と思ったんですね。そして建立された方やそのご子孫の方、そして地元の方たちにお話をお聞きして「誰が造ったのか」「どういう経緯で造られたのか」そういうことがわかってきますと、また大仏が一段と魅力的な存在に感じてきたのです。

大仏を通じての人々との出会い、それが大仏巡礼の大きな楽しみです。

 

―取材中に大変なことはありましたか

やはり前例のない大仏専門書の取材で、とくに近現代の大仏への取材を正式に申し込んできた人間なんてこれまで誰もいなかったそうで、最初はあまりご理解をいただけず、取材を断られたところもありました。
しかし、きちんとこちらの主旨を何度も説明し、ご理解をいただいたあとは、お話好きの住職さんや管理人さんと盛り上がりまして、夕食を御馳走になったことも。あとは温泉施設を併設されている大仏様もあるんですけど、そこは取材の後ひとっ風呂浴びてってよ、と入らせていただいたこともありますよ。

 

いよいよ次回で最終回「神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(5)~結び・ライフワークとして~」につづく

« 神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(3)~コンクリート大仏の魅力~ | トップページ | 神社仏閣専門家・坂原弘康の大仏講座(5)~結び・ライフワークとして~ »

大仏巡礼」カテゴリの記事