坂原弘康の「仏像のミカタ」 仏像界のビッグスター“大仏”2 ご来場御礼
★6月23日(土)開催、坂原弘康の「仏像のミカタ」仏像界のビッグスター“大仏”2 無事終了しました。
ご来場いただきましてありがとうございました。
今回は“高層大仏”特集。知られざる仏像史“高層大仏史”をご紹介。
元祖高層大仏・高崎白衣大観音。その姿にこめられた様々な秘密に迫ります。
神社仏閣専門家・坂原弘康の仏像トークライブシリーズ
“坂原弘康の「仏像のミカタ」”。
さて今回もやはり私の代名詞である「大仏」。大仏講座第二弾です。
現代を象徴する新たな仏像のスタイル“高層大仏”をテーマに、知られざる仏像史“高層大仏史”を紹介しました。
あ、どの仏像の本にも“高層大仏史”なんて載っていませんのでご注意を。ここだけの私オリジナルの新・仏像史ですから!
まず“高層大仏”とは何か?
大仏の部分を“ビル”に置き換えてもらえたらわかりやすいかと思います。つまり高層建築の構造を持つ大仏です。
関東大震災以降、耐震性や耐火性に優れた鉄筋コンクリートが着目されるようになり、鉄筋コンクリートの普及が進むにつれて、大仏の建造にも鉄筋コンクリートが取り入れられるようになり、大仏の「巨大化」と「大衆化」が進みました。現在ではさらにカーテンウォール工法といった新たな建築技術も使用されて、120メートルもの高さの大仏まで建立されています。
一般的に100メートル以上の高さのビルを超高層ビルといいますので、まさに“超高層大仏”といってよいでしょう。
現代の技術の粋を結集して作り上げた高層大仏はまさに最先端の仏像のスタイルといえます。
ちなみに私が思う坂原流“高層大仏の条件”とは、次の二点をクリアしたもの。
1・高さ40メートル以上
2・内部は階層となっており、“胎内めぐり”が可能
これを満たしているのは昭和11年建立の高崎白衣大観音から平成7年建立の小豆島大観音まで計12体(うち淡路島平和大観音は現在閉鎖中)
つまり、私の大仏めぐりの原点“元祖高層大仏”の高崎白衣大観音をスタートとして、我が国の“高層大仏史”は始まるのです。
さて高層大仏を語る上で注目したいのは“白衣観音”というキーワード。観音菩薩には様々な種類がありますが、なぜ白衣観音を選んだのでしょうか?
まあ単純に考えれば「造りやすかった」ということでしょう。頭から足元まで白い布で体をすっぽり包んだ姿は、いわば円筒形のビルです。白い布で細かい装飾品なども省けるし。造りやすさと耐久性を考えれば、白衣観音はもってこいの形だったのだと思います。
その後も白衣観音は日本の高層大仏のトレンドとして、白衣観音形の高層大仏が沢山造られています。
それともう一つ、こんな理由もあるのかなと思います。
白衣観音とは、沢山の種類がある観音菩薩の中でも女性であることが説かれているものの一人で「阿弥陀如来の妃、観音菩薩の母」とされています。つまり白衣観音の大きな姿にいつも人々を優しく見守ってくれる「母の慈愛」を求めたのかもしれません。
高崎白衣大観音はファッションリーダー。白衣観音ルックが高層大仏界で大流行。
海と密接に生きてきた日本では海の守り仏として“魚籃観音”も多くまつられてきました。こちらも美女に変身した観音様に由来するものです。
「大仏+α」の大仏テーマパーク。昔はこんなスゴイものもありました。なんと大観音の隣にジェットコースター。
これからの新たな大仏テーマパークの形は「原点回帰」。日本の大仏カルチャーの可能性はまだまだ広がっています。
高層大仏の楽しさとして“胎内めぐり”があります。
お寺における胎内めぐりとは岩や洞窟、お堂の床下などを仏の胎内に見立てて巡るもの、そして文字通りの“大仏の胎内めぐり”があります。
鎌倉大仏の胎内めぐりは江戸時代より行われていたようで、当時より参拝者の人気を集めていたようです。
現代の高層大仏では、さらに胎内が仏像を配した巡礼空間になっていたり、高層建築ならではの展望台や吹き抜けといった様々な楽しい仕掛けがほどこされています。
そしてさらに発展したのが、高層大仏を中心に、ホテルや飲食店、娯楽施設などを備えた現代版門前町ともいえる“大仏テーマパーク”です。
「大仏+ホテル」「大仏+温泉」「大仏+遊園地」など様々な「大仏+α」の機能を備えた大仏テーマパークは、80年代に新たな観光スタイルとして大流行し、各地で次々と登場して話題を集めましたが、90年代のバブル崩壊とともに方針転換や規模縮小などを余儀なくされ、また新たな形での高層大仏の在り方を考える岐路に来ているのかもしれません。
そんな中で平成の世に登場の高さ120メートルの日本一の大きさを誇る牛久大仏を中心にした「牛久アケイディア」では「大仏+α」の機能として、あるものを備えた新スタイルの大仏テーマパークとして成功しています。それは何か、「大仏+霊園」です。
なんだ当たり前のことじゃないかと思われるでしょうが、バブル時代に我々が見失っていたことではないでしょうか。本来は大仏は信仰の対象であり、お寺は祈りの場であります。“原点回帰”、これこそがまた新たな形での大仏と人々のつながりを築くきっかけになると思います。
そう、いつだって大仏様は私たちを優しく見守ってくださる“ビッグスター”なのだから。
というわけで3回にわたってお送りしてきました“坂原弘康の「仏像のミカタ」”いかがでしたでしょうか。
大仏、地獄めぐり、と日頃あまり取り上げられる機会のない仏像カルチャーを紹介させていただきましたが、庶民にも面白くわかりやすく仏の教えを伝えるために、様々な形で進化し、親しまれてきたこれらのものこそ、この現代にも仏の教えが息づいている証拠だと思っています。
これを機会にまた新たな仏像の魅力、楽しみ方を感じていただけたら嬉しく思います。
坂原弘康の「仏像のミカタ」セカンドシーズンもいつかどこかで開催したいと思っています。
それでは皆様またお会いいたしましょう!
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