【社寺彫刻図鑑】黄安と盧敖
黄安(こうあん)は中国の仙人で、大きな亀と共にいて、移動する時は亀の背中に乗り、またその亀は三千年に一度首を出し、黄安はそれを五回見たと話していたことから、年齢は一万五千歳を超えていたといわれます。
上記の逸話に基づき、亀に乗る姿、または亀と共にいる姿で表されます。
もう一人、盧敖(ろごう)という人物も亀に乗る仙人とされていますが、盧敖が亀に乗るというのは、実は日本独自の設定です。
盧敖は中国の書物「淮南子(えなんじ)」に登場する秦時代の方士であり、「淮南子」には盧敖が北の果てまで行った時、そこで亀に乗る仙人(名前は不明)と出会ったという内容が記されており、盧敖と亀に乗る仙人は全くの別人なのですが、「淮南子」を誤訳したことによる混同、または意識的な改変(中国の仙人に日本独自の設定を加えるのはよくあること)によって、日本では盧敖が亀に乗る仙人とされました。
江戸時代の絵手本である林守篤「画筌」や葛飾北斎「北斎漫画」にも亀に乗る姿の盧敖が描かれており、当時の日本で盧敖が亀に乗る仙人として定着していたことが窺え、亀に乗る仙人を表した社寺彫刻のいくつかは盧敖を表したものである可能性も高いです(※亀に乗る仙人が、黄安と盧敖のどちらであるか判別するのは困難)。

小祝神社(群馬県高崎市)

秩父神社(埼玉県秩父市)

大前神社(栃木県真岡市)

北野天満宮(京都府京都市)

氷川天満神社(埼玉県桶川市)

龍穏寺(埼玉県越生町)

大悲願寺(東京都あきる野市)

一本木稲荷神社(群馬県前橋市)

阿久津稲荷神社(群馬県太田市)

浄真寺(東京都世田谷区)

産泰神社(群馬県前橋市)

正福寺(三重県鳥羽市)

高尾山薬王院(東京都八王子市)

医王寺(栃木県鹿沼市)

高鳥天満宮(群馬県板倉町)

三津厳島神社(愛媛県松山市)
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